使用機器 株式会社シンメトリックス社 iFKR-ZIP
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検出器:CsI(TI)2インチ×2インチ×1インチ(厚)
測定下限値:検体320gの場合、0.6〜0.9Bq/kg以下(Cs-137)
測定エネルギー範囲:80Kev〜2MeV
MCA2048ch、最大4096ch
外寸:30cm×30cm×20cm 重量約50kg 鉛遮蔽体 40mm
適用スクリーニング法:スペクトル
ピーク係数法
ヨウ化セシウムを使ったこの機器は常温で誤差なく測定できること、
検出下限値が1Bq以下(10時間測定)というのも私たちの思いと
一致します。
現在は、自然放射能の影響を防ぐために、 機器の周囲に追加鉛板(底部に50 o、上方及び四周に 20 o)を貼り付けた。 更に、「温度ドリフト」(20時間測定を行うため どうしてもこれが発生する)を防ぐためにワインセラーに 機器を収納して、測定環境温度を一定(約20℃) にすることで測定誤差を防いでいます。 その結果、定格の320gであれば、20時間測定で 下限値0.6Bq/kgまで測定できるようになりました。 |
1.こうした環境での測定が正しく行われているかを次のような方法で検証しました。
国立研究開発法人産業技術総合研究所の「標準玄米」試料測定です。
(ブログ2017年2/25の記事から)
「産総研」が開発した「放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質」(以下、「標準米試料」と略す。
2012年8/31から頒布)をZIPで測定し、その測定能力にどれほどの正確性があるのか検証してみました。
1.「標準米試料」とは?
玄米粒で試料量は81 g(正味質量) 放射能濃度 Cs全体 85.4 Bq/kg(2012年8/1段階)
その内訳は、Cs137が51.8、Cs134が33.6でCs全体85.4Bq/kgとなっています。
この試料について、産総研のHPではこう書かれています。
「今回頒布する認証標準物質の放射能濃度は約85 Bq/kgであり、厚生労働省による一般食品の放射性セシウムの基準値
(100 Bq/kg )より若干低い。そのため、検査機関がこの認証標準物質の放射能を正しく測定できれば、
基準値を超える食品の放射性セシウムの測定ができることの確証となる」と。
つまり、測定器が正しく測れているかの大きな目安となるわけだ。
2.頒布された試料の現在の理論値(計算値)
頒布当時Csは85.4Bq/kgだったが、経年しており値は減少しているので、現在の推定理論値を示します。
Csall 53.99Bq/kg Cs134 7.32Bq/kg Cs137 46.67Bq/kg
3.当測定器(ZIP)を使って10時間測定の結果
ZIPでは検体は320gですが、標準米試料は81gです。うち出されている数値を重量換算する必要があります。
その結果は次の通りです。
ZIP測定値 Csall 52.9Bq/kg Cs134 7.50Bq/kg Cs137 45.83Bq/kg
推定理論値 Csall 53.99Bq/kg Cs134 7.32Bq/kg Cs137 46.67Bq/kg
ZIPでは誤差数値の3倍が下限値とななります。本体が81gなので、重量換算して下限値は3.6Bq/kgです。
測定値(52.9Bq/kg)と推定理論値(53.99Bq/kg)との差はわずかに−2.02%です。
検体がお米なので天然核種が妨害を行っているかも?と考え、Cs137のカウントが1カウントしかなかった
「丹波産の白米のスペクトル」をBGにしてみました。スペクトル表をご覧下さい。
空の20時間BGの時と同じように重量換算してみるとこうなります。
ZIP測定値 Csall 53.73Bq/kg Cs134 7.51Bq/kg Cs137 46.22Bq/kg
推定理論値 Csall 53.99Bq/kg Cs134 7.32Bq/kg Cs137 46.67Bq/kg
下限値は3.6Bq/kg。その差はわずかに−1.15%になりました。
トータル値でもマイナス1%強。標準米試料がわずか81gにも 関わらずです。
手前味噌ですが、ZIPの優秀性を改めて実感した次第です。
このように当測定所では、この「標準米試料」の他にもZIP販売元のシンメトリック社が開発した
「5Bq/kg試料」を定期的に測定して、機器の正確性を確認しています。
高槻・市民測定所は「1ベクレルまで測る」ことに拘って活動します。
2.計測器についての寄せられた質問に答える。
当測定所のカリウムのベクレル数が少ないのは?(pdf版)
当測定所のカリウムのベクレル数が少ないのは?(画像版)